皮膚常在菌の役割
健康な皮膚には、皮脂内膜に皮膚常在菌が分布しております。これらの善玉菌は脂肪分解酵素を出して皮脂を分解し脂肪酸を生成することで、皮膚のpHを弱酸性に維持しています。
石鹸は弱アルカリ性だから善玉菌(皮膚常在菌)には良くないと勘違いされやすいのですが、石鹸で洗いはじめると、汚れを取り込む他に一部イオン化して弱酸性物質となり、皮膚表面に単分子膜として吸着し、代替(疑似)皮脂膜を形成するものがあります。弱酸性の合成界面活性剤でも石鹸でも善玉菌は悪玉菌と共に洗い流されるのですが、石鹸は善玉菌の増殖スピードが速いのが特徴です。
たとえば、弱酸性の洗剤やその他の合成界面活性剤で洗えば、皮膚常在菌が全て洗い流されてしまい、復活するのに10時間以上を要します。さらに、殺菌剤(パラベン)や薬用の殺菌成分<外部リンク>などが入っていれば、善玉菌は死滅してしまい、皮膚は病原菌や有害細菌に侵されやすくなり、元の善玉菌で護られた健康な肌に戻るのには相当な時間を要します。このように善玉菌は肌の弱酸性を維持する非常に重要な役割があり、保湿に深く関わっているのです。
又、京都大学の研究によりますと水だけでうがいした場合とうがい薬でうがいした場合の比較を検証した結果、水だけでうがいをした方が風邪の発症が4割減ることを実証しました。皮膚常在菌や腸内フローラと同じように喉にも常在菌があってウイルス等の侵入を防いでいることがわかっています。うがい薬は喉のウイルスを一時的に殺菌することはできますが常在菌まで殺菌し死滅するため、殺菌後に入ってくるウイルスを常在菌が防ぐことができなくなるからだと考えられています。
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